Q.商店を株式会社にして代表取締役となりましたが、経営の見込み違いから会社に損失を出してしまいました。取締役をやめたり、損害賠償をしたりしなければならないのでしょうか?また、会社に損失が出たことを株主に秘密にしておくことはできないでしょうか?

A.「取締役」の会社に対する不正行為を防止し、会社の収益性・競争力を向上させるための企業経営の仕組みを「企業統治(コーポレート・ガバナンス)」といいます。

株式会社では、取締役(代表取締役)が経営について強い権限を持っていますが、出資者である「株主」の意思決定をする機関である「株主総会」が「取締役」を解任できるのは、「企業統治」の考え方の表れのひとつといえます。

「株主総会」で「取締役」が解任されるかどうかについては、会社が発行している「株式」の数などを調べる必要があります。そして、「株主総会」での決議が有効であるためには、「株主総会」の招集手続や決議の方法が法律に則って行われる必要があります。

「取締役」の経営によって生じた損害を会社に対して賠償する責任があるかどうかについては、具体的な事案に応じて専門的な判断が必要となります。

「取締役」は、「株主」に経営についての情報を提供するため、定時株主総会で「計算書類」などを提供しなければなりません。

「企業統治」の体制を整備し、取締役の不正や放漫経営を防止することによって、会社の内部紛争を予防できますし、取引先や顧客との信頼関係も強化でき、会社の収益性・競争力の向上が期待できます。
会社のトラブルの防止・解決には、弁護士へのご相談・顧問契約が有効ですから、お気軽に弁護士にご相談ください。

1 会社の設立と企業統治

個人が経営しているお店などの「個人事業」では、個人が取引を行います。これに対して「株式会社」では、会社という法人が代表者である取締役(代表取締役)を通して取引を行います。

株式会社では、取締役(代表取締役)が、会社の業務を執行し、対外的に会社を代表するので、大きな権限を持っているといえます。しかし、株式会社では、本来、出資者である「株主」が所有者であり、取締役は会社から経営を任されている関係にあります。このことから、「株主」の利益を守るため、取締役の不正や放漫経営を防止する必要があります。

このように、取締役の会社に対する不正行為を防止し、会社の収益性・競争力の向上させるための企業経営の仕組みを「企業統治(コーポレート・ガバナンス)」といいます。例えば、「株主」が会社についての意思決定をする機関である「株主総会」は、「取締役」を解任することができるのは、「企業統治」の考え方の表れのひとつです。

会社を設立して経営するには、こうした企業経営の仕組みを理解しておくとよいでしょう。

2 株式と株主総会

「株式」とは、会社の株主としての権利を表すものです。「株主」は、原則として、保有する「株式」の数に応じて、「株主総会」で議決権を行使することができます。

「株主総会」で「取締役」が解任されるかどうかについては、会社が発行している「株式」の数などを調べる必要があります。

そして、「取締役」を解任する決議が有効であるためには、「株主総会」の招集手続や決議の方法が法律に則って行われる必要がありますから、事前に入念な準備が必要となります。

3 取締役の責任

株式会社では、「株主」が「取締役」に会社の経営を任せることにより、所有と経営が分離されています。会社の経営を任せられた「取締役」は、経営について、ある程度の裁量があります。しかし、「代表取締役」が放漫経営などによって会社の財産を損なうことは、会社の所有者である「株主」の財産を減少させるものといえます。
「取締役」の経営によって生じた損害を、会社に対して賠償する責任があるかどうかについては、具体的な事案に応じて専門的な判断が必要となります。

4 会社の計算

「取締役」は、定時株主総会で「計算書類」などを提供しなければなりません。これは、「株主」に経営情報を提供して、放漫経営などを防止するために会社法という法律で定められています。

会社では、こうした法令を遵守することが、「取締役」の不正行為を防止し、会社の収益性・競争力を向上させることにつながります。

5 企業統治のご相談

会社を経営する上では様々なトラブルはつきものです。会社の外部関係では取引先や顧客などとの問題がありますし、会社の内部関係では取締役間の問題、取締役と株主との問題、株主間の問題など様々な場合が考えられます。

「企業統治」の体制を整備し、取締役(代表取締役)の不正や放漫経営を防止することによって、会社の内部紛争を予防するだけでなく、取引先や顧客との信頼関係も強化でき、会社の収益性・競争力の向上が期待できます。

そのためには、会社法などの関係法令を理解しておくことが重要です。しかし、頻繁に改正される法的知識を一般の方が新たに身につけることは困難ですし、中小企業においては専門の法務部門を作って対処することは人的・経済的資源の面から難しいことが多いといえます。

こうしたことから、弁護士へのご相談・顧問契約は紛争の防止・解決にとって有効といえますので、当事務所にお気軽にご相談ください。

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