ChatGPTは弁護士業務に役立つか?~ChatGPT-4oによる進化~
こんにちは、弁護士の尾形です。
みなさんはChatGPTというサービスをご存じでしょうか。ChatGPTは、OpenAIというAIの研究開発を行う団体がリリースしたサービスです。ChatGPTでは、チャットで質問文を打ち込むとAIが文章で回答してくれます。2022年の11月末にリリースされると、ChatGPTは瞬く間にユーザーが増え、一時ブームになりました。ブームとなった理由は、様々ありますが、ChatGPTが、チャット形式で文章を打ち込むだけで使えるという誰でも簡単に使えるものであったこと、大量のデータを学習済みであり回答がとても自然であったことが主な理由であると思われます。
以前は、ChatGPT4というAIのモデルが、有料版でのみ使用できましたが、現在は、無料版で使用できるようになっており、利便性が高まっています。また一方で、ChatGPT4-oというモデルが公開され、有料版で使用できるようになり、無料版でも一時使用できるようになっていました。
以前私は、ChatGPT3.5とChatGPT4を用いて、ChatGPTが各弁護士業務へどの程度役立つかを調べ、まとめたことがあります。ChatGPT3.5の調査結果は、動画に、ChatGPT4の調査結果は書籍にまとめていますので、ご興味があればご覧ください。
動画:https://www.youtube.com/watch?v=tK1PnXhYiSc
書籍:https://amzn.asia/d/bzBTNFf
今回は、その後、より上位のモデルであるChatGPT-4oが出たことから、ChatGPT-4oを用いて、ChatGPTが各弁護士業務へどの程度役立つかを調べ、まとめてみました。ただ、ChatGPTが一つ一つの業務へどのように役立つかを説明すると、非常に長い動画になってしまうので、今回は、結果だけ、ChatGPT4からChatGPT-4oにかけて、どのような進化がみられ、そして、みられなかったのかを概観しようと思います。
こちらの図をご覧ください。弁護士業務の典型的な業務をピックアップし、ChatGPTのお役立ち度をまとめたものです。黒い星5つで満点と評価したものです。お役立ち度が向上したものには、黒い星に下線を引いています。業務の数が多いので、特筆すべき点のみ説明します。
まず、1から5まで、契約書の作成やお礼状・謝罪文はもともと、相当レベルの高いものがChatGPTから出てきていました。一方で、特筆すべき点は、法令調査と判例調査です。法令調査では、以前は、重要な法令の指摘すらできなかったのですが、それが比較的できるようになっていました。また、判例調査も、虚偽の判例を上げるだけだったのが、一部の分野に限られますが、弁護士事務所のHPを引用するなどして、本当の判例も指摘できるようになっていました。アメリカでは、ChatGPTが出力した実在しない裁判例を、弁護士が裁判で引用したことが問題となったことがありますので、この点は大きな進歩といえるでしょう。
次に、6から10まで
特筆すべき点は訴状作成です。以前は、形式面からして間違っているものが多く出てきましたが、学習が進んだのか、形式面がかなり本物の訴状に近いものが出てくるようになりました。まだ実用レベルではないですが、近い将来実用レベルのものが出てくるのではないかと期待されます。
次に、11から15まで
依頼者からの質問に対する回答がかなり有用になっています。法令調査の能力が向上した結果でしょう。しかも、言葉遣い、コミュニケーションもかなり自然で参考になる点すらあります。
最後に、16から20まで
意外にも、以前は請求書の作成がうまくいかなかったのですが、最新のバージョンでは、ソツなくこなされるようになっています。
以上、ChatGPT4-oの、弁護士業務へのお役立ち度を概観しました。結局、実際にChatGPTをいじってみないことには、イメージがわかないと思います。ChatGPTへの登録は2、3分で完了するので、是非試してみてください。