弁護士による着手金詐欺~注意喚起

こんにちは、弁護士の尾形達彦です。本日は、あまり気持ちの良い話題ではないのですが、弁護士による着手金詐欺についてお話します。

1 着手金詐欺とは何か

弁護士による着手金詐欺・・・聞きなじみのない言葉だと思います。弁護士は依頼者の味方です。その弁護士が依頼者に対して詐欺を働くというのも、あまり考えたくないところです。弁護士による着手金詐欺、それがどういうものなのかというと、お金の回収可能性がほとんどないにもかかわらず、お金が回収できると偽って、依頼人から着手金を受け取るというものです。

2 弁護士会による処分が続いている

弁護士が非行をすると、弁護士の自治組織である弁護士会が、弁護士に対して処分をくだします。最近、弁護士が着手金詐欺を行って、弁護士会に処分されるという事例が続いています。

3 誰が注意すべきか

弁護士による着手金詐欺を、どのような方が注意すべきかというと、典型的には詐欺にかかってお金を取られ、相手方と連絡が取れなくなったものの、お金をどうにかして取り返そうとしている方です。特に、最近では、詐欺の中でも、外国人を装い、SNSを通じて被害者に接近して一定期間交流し、恋愛感情や親近感を抱かせて、お金をだまし取ったり、一緒に投資をやろうと誘ってお金をだまし取ったりする、「国際ロマンス詐欺」といわれる手法が多くなっています。このような詐欺の被害者が弁護士に相談するときには、「弁護士による着手金詐欺」というものが存在することを、念頭において欲しいと思います。

4 着手金詐欺を疑うべきポイント

着手金詐欺を働く弁護士がどのようなことをホームページに書いたり、言ったりするかという、「お金は絶対に返ってきます」「お金はすぐに返ってきます」「私であれば、必ずお金を取り返せます」「同様の事例でお金を全額回収することができました」、そういった甘い言葉です。詐欺にかかった方にとって、こういった甘い言葉は特に魅力的に感じられることでしょう。しかし、弁護士は、法律相談の際、リスクに応じた説明を行います。連絡が取れなくなってしまった相手からお金を取り返すのは、簡単なことではありません。それにもかかわらず、弁護士が、「絶対」や「全額回収」といった強気な文言をホームページに載せていたり、言葉を使ったりする場合には、十分注意すべきでしょう。

着手金詐欺を疑うべきポイントは、法律事務所のホームページの文言や弁護士が使う言葉以外にもあります。一番重大なのが、弁護士に直接連絡が取れない場合です。弁護士に相談して依頼しようと思っているのに、一向に弁護士に連絡が付かず、事務員とだけ話すような状態となったときには、十分注意すべきでしょう。

他にも、
・弁護士が一人しかいないのに、ホームページ上に24時間365日相談対応と書かれている
・「LINEで相談」とホームページ上表示されているにもかかわらず、実際には弁護士でないものがLINEのメッセージを作成しており、弁護士が対応してくれない
・ホームページ上に詐欺専門弁護士であるといった文言が入っている
場合には十分注意してください。

詐欺にかかり、お金を取り返そうとしている方は、これまで紹介した注意点に、十分注意した上、弁護士に依頼するか判断してください。

5 着手金詐欺とそうでない場合の違い

ただ、弁護士というのは、お金を取り返して欲しいという依頼自体は、日常的に受けています。そのため、お金を取り返して欲しいという依頼をするときに、常に「弁護士による着手金詐欺」のことを心配する必要はありません。あくまで、詐欺にかかり、お金を取り返そうとしている場合に、注意して依頼した方が良いという話です。弁護士全体の信頼を損なう、着手金詐欺を行っている弁護士に対しては憤るばかりです。ただ、ほとんどの弁護士は、リスクに応じて、お金を取り返せるかどうか、ペイするか、依頼人の利益を常に考えておりますのでご安心ください。

6 まとめ

本日は「弁護士による着手金詐欺」についてお話しました。
まとめると、
弁護士による着手金詐欺とは、お金の回収可能性がほとんどないにもかかわらず、お金が回収できると偽って、依頼人から着手金を受け取るというものです。

注意すべきなのは、
①弁護士が直接対応せず、事務員としか連絡できない。
ホームページ上で
②「絶対」や「全額回収」といった強気な言葉が使われている
③詐欺専門弁護士であるといった表示がされている
④弁護士が一人しかいないのに、24時間365日相談対応と書かれている
という点です。
本日のお話は以上となります。最後までご覧いただきありがとうございました。
以 上

著者プロフィール


尾形達彦 弁護士

おくだ総合法律事務所
埼玉県私立西武学園文理高等学校卒
早稲田大学法学部卒
早稲田大学法科大学院修了
福岡県弁護士会所属