【動画で解説】弁護士費用について
こんにちは弁護士の田代です。今回は弁護士費用、弁護士にかかる費用についてご説明致します。
弁護士の費用に関しましてよくお問い合わせを受ける内容についていくつかご回答したいと思います。
よく寄せられる質問について、まず第一に「弁護士費用はどれぐらいかかるのですか」という質問は特によく受けます。
さらに、弁護士費用を安くすることはできませんかと、こういった質問もよく耳にするものです。
そしてこのほか 弁護士費用を今回の紛争トラブルの相手に対しても損害の賠償として請求したいと、こういった質問も時々と言いますか、それなりに耳にするものです。
今回はこの三つの質問について順にご回答差し上げたいと思います。
Table of Contents
Q1 弁護士費用はどれくらいかかるか?
A1 事務所によって異なる
第一の質問、「弁護士費用はどれくらいかかるのですか。」この質問に対しては、当たり前の回答になってしまいますが、事務所によって異なってしまいます。そのため、各事務所の例えばウェブサイト上で弁護士費用が掲載されていたり、あるいは個別の電話に対して弁護士費用の大まかな算定方法について説明していただいたりという、そういった事務所毎の弁護士費用の確認はユーザーにとっては不可欠のことになります。
A2 昔は、相場が決まっていた
ただ、これには 留保 がございまして、事務所によって費用が異なるのはここ数年の話でして、実は昔は費用がいくらかというその相場は、日本全国一律に決まっていました。
どのように決まっていたのかと言いますと、日弁連の(日本弁護士連合会これを訳して日弁連と言います)旧日弁連報酬等基準によって一律に定められていました。
そして実はこの日弁連の基準ですが、今もウェブサイトなどで公開されていますので、ここに表示されてるワード、「旧日本弁護士連合会報酬等基準」というキーワード、あるいは「日弁連報酬基準」などといった検索ワードで検索をかけますとすぐに出てくると思います。
ただこういった基準の定めというのが、自由な競争で価格を下げていくという観点から問題があるのではないかということで今は撤廃されております。
A3 現在も、報酬の多寡を考える際の基準になる
ただ実は現在もこの基準というのは多くの事務所で採用されている基準です。そのため報酬が多いか少ないか、報酬の多寡を考える際にはこの基準と照らし合わせると良いのではないかと思います。
この基準と比べて特に報酬が高い場合、その時にはちょっと注意していただいて、場合によっては別の弁護士にも相談して頂くと良いのではないかなと思っております。
Q2 弁護士費用を安くできないか?
次の質問ですが、「弁護士費用を安くすることはできないのでしょうか。」こういった質問も当然ユーザーにとっては非常に大切なことですのでよく耳にするものです。
A1 安い事務所を探す&交渉する
これに対しての方法ですが、まず安い事務所を探す、あるいは実際に相談されている事務所で費用面について交渉する・相談するという点が最もオーソドックスな対応方法です。
これについては先ほど申し上げましたように、法律ウェブサイトで開示されており、他の事務所の相場等も分かりますので、そういったものを一つの材料にしたり、あるいは旧日弁連報酬基準を材料に交渉したり、あるいはいくつかの事務所をあたってみると良いのではないでしょうか。
ただこういったやり方については結局のところどれくらい効果があるかについては分かりませんし、逆に申し上げますと、特に高い事務所を排除するという意味では役に立つかと思いますが、特別、日弁連の基準に比べて例えば半額でやりますとか、それを下回る基準でどんどんやりますのでと、そういった事務所はもうあまりないかと思いますし、もしあったとしても、それはそれで、そういったところに無条件にお任せするというのもどうなのかなという感覚は弁護士としてはございます。そのため安い事務所を探したい、交渉するということについてはどこまで積極的に進めるかと言うとそれはちょっと分からないところがございます。
A2 弁護士費用の支援制度を利用する
① 弁護士費用等補償特約・権利保護保険
私として特におすすめするのは、弁護士費用の支援制度という制度がございますので、それの利用をおすすめします。例えば、弁護士費用等補償特約という特約とか権利保護保険という名前の保険とか、これはいずれも保険用語になります。例えば自動車保険には弁護士費用等補償特約という特約、略して弁特と申しますが、この弁特というのが付けられている保険などもよくあります。
そのため交通事故に遭われた方等については、ご自身の車や家族の車の保険を確認すれば、この弁特が使えるというケースが多々ございますので、まずはそこの確認からされると良いのではないでしょうか。
他にも最近では権利保護保険と言いまして、交通事故以外の様々な日常生活上のトラブルについて弁護士費用を補償するという保険、そういった商品やオプションがございまして、そういったものに加入されているかどうかも確認されると良いでしょう。
こういった保険を利用すれば弁護士費用を無料にできるというケースも少なからずございますし、万が一多少かかるとしてもその大部分をカバーできることになります。
② 法律扶助(法テラス)
そういった制度が使えない場合の利用しやすい制度としましては、法律扶助と言いましてこれは法テラスという機関です。テレビコマーシャルなどでご覧になられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
法テラスという公的な機関、公の機関が広めております法律扶助という制度を利用することをお勧めします。
原則:5000円~10000円の分割払いにできる
この制度を利用したら費用の減額というよりは、費用の分割払いというのがまずは可能になります。
原則として5000円から1万円の範囲で弁護士代を分割で支払う、月額5000円から月額1万円の範囲で分割払いにすることができます。
資産・収入状況によっては、免除もある
また一部の方について、資産や収入状況によっては、そもそも分割払いではなくもう費用自体、法テラスから全額出るのみで、ご自身の負担はない、つまり免除されるという可能性もございますので、こちらの可能性についてご確認されると良いでしょう。
この制度ですが多くの法律事務所で利用できることになっておりますので、こういった制度の利用の可否や利用できるかどうか、利用できるとして免除が自分の場合はできるかどうかなど、そういったものについてもご相談されてる法律事務所で聞かれると間違いがないのではないでしょうか。
Q3 弁護士費用を相手に請求できないか?
次の質問に行きますと、「弁護士費用を相手に請求できませんか」つまり、トラブルになっている相手に損害賠償請求などをする中で、弁護士費用について、自分が負担する分についても向こうに支払ってほしいと、これもトラブルの当事者となっている方のお気持ちとしてはよく分かるものですので、ご質問をよく受けるものです。
A1 基本的には不可能
ただこれに対しては基本的にはそういった請求はできないもの、という風にされております。これは現在の法律の運用でそんな風なっているというものです。ただ一応例外はございますが、それについてはまたご説明します。
相手から請求されることも基本的にない
まず法律上相手に請求することができないとなっておりますので、逆に相手から請求されることも基本的にはございません。そのため逆に言いますと、トラブルの相手から「弁護士費用とかも含めて請求してやる、払いなさい」という風に言われてる場合には、本当にそこまでしなければいけないのかというところは一度疑問に感じていただいて良いのではないでしょうか。
A2 例外は不法行為
ただこのような弁護士費用が請求できないと、相手からもされないけれどもこちらからも請求できないという内容には例外がございます。この例外は不法行為に基づく損害賠償請求の場合というときです。
例えば、暴力、交通事故、不倫、ハラスメントなど
不法行為とは何なのかと言いますと、この言葉からイメージされるのは不法な行為と違法な行為というものです。例えば暴力等というのが一番イメージしやすいのでないのではないでしょうか。この暴力の他にも交通事故、あるいは不倫、不貞行為、パワハラ、セクハラ等ハラスメントなど、こういったものが不法行為の一般的な例になります。
この不法行為については契約関係等にない相手に対して損害賠償を負うと、例えば飲み屋でトラブルになった相手に対して暴力を振るってしまったと、これはこの加害者と被害者との間には契約関係などはありませんし、交通事故、たまたま交差点でぶつかってしまった、あとは不倫の関係なども不倫の被害にあった奥さんと例えばその不倫のご主人の交際相手というのも基本的には、顔見知りのことはあっても、契約関係などとは異なります。
またハラスメント、これは若干特殊ですけれども、職場の関係でのハラスメントで言いますと、上司と部下という関係などはございましても上司と部下との間には契約関係はありません。
あるとすれば、勤務先と部下との関係で、あるいは勤務先と上司との関係というところで、勤務先を相手にする場合には契約関係が出てきますので不法行為にはあたりませんが、直接の加害者の上司とかあるいは同僚とかと、被害者である部下などについては契約関係はございませんので不法行為としての損害賠償の請求となります。
その場合でも、実費全額の請求は不可能
こういった場合には弁護士費用を相手に対して請求する可能性がございます。可能性と申し上げましたのは、その場合であっても実費ですね、ご自身が負担された弁護士費用の全額を請求することはできません。
この場合ですが、一般的には、交通事故で怪我を負って治療費や慰謝料などで100万円かかりましたと、その分の請求をするというケースでは、その請求100万円の一割という金額がひとつの相場とされております。そのためそのケースで弁護士費用で20万円かかったとしても請求できる、認められるのは10万円が限度というイメージになるのではないかなと思います。
このように今回弁護士費用について、よくある質問に対して個別にご回答させていただきました。
ただ費用面に関しまして、いくつか取れる道や使える制度がそれぞれございますので、まずは弁護士にご相談いただいて、費用面についても協議されると間違いがないのではないかと思います
著者プロフィール
田代隼一郎 弁護士
おくだ総合法律事務所
平成24年弁護士登録
福岡県弁護士会所属
熊本県熊本市出身
真和高校卒
九州大学法学部卒
大阪大学大学院高等司法研究科修了