Q.経営している商店を株式会社にするため、「定款」を作成しました。「定款」を作成した後にはどうすればよいのでしょうか?

A.「定款」とは、会社の組織と活動に関する根本規則をいいます。
「定款」は、設立の際に「発起人」が記名押印等をした上、「公証人」の認証を受ける必要があります。
「定款」認証の手続きは、(1)書面又は(2)電子文書で行うことができ、それぞれ用意しなければならないものが異なります。
「定款」の認証は、手続きをする前に「公証人」にチェックしてもらうことができますが、「公証人」はあくまで法律で定められた要件をチェックするだけなので、任意に記載すればよい事項についてミスを発見できない場合もあります。
「定款」は、会社の根本規則として会社の重要な事項を定めるものですから、設立の際には慎重に決定する必要がありますので、株式会社設立のときには、企業法務に専門知識のある弁護士にご相談ください。

1 「定款」とは

「定款」とは、会社の組織と活動に関する根本規則をいいます。「定款」は、会社内での重要な事項を定めるものであり、債権者など会社外の関係者にも大きな影響を与える可能性があります。
「定款」は、内容を明確にして後日の紛争や不正行為を防止するため、設立の際に「公証人」の認証を受ける必要があります。

2 「定款」の認証

「公証人」は、行為が正当な手続きでなされたことを証明する法律の専門家です。「公証人」が執務する事務所を「公証役場」といいます。
「定款」の認証は、会社の本店の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の所属公証人が行わなければなりません。
「定款」認証の手続きは、(1)書面で行う場合と(2)電子文書で行う場合で、準備しなければならない物が異なります。

(1)書面で行う場合

ア 定款 3通

「定款」は、公証役場保存用原本・会社保存用原本・設立登記申請用謄本のため3通が必要となります。3通すべてに「発起人」全員の署名押印と割印が必要です。

イ 「発起人」の印鑑登録証明書

「定款」に記載された「発起人」の住所・氏名・押印を確認するため、発行後3か月以内の印鑑登録証明書が必要となります。

ウ 収入印紙 4万円

定款のうちの1通(公証人保存用原本)に貼付します。

エ 手数料(1件当たり5万円)・謄本料(1枚当たり250円)

「定款」の認証手数料1件当たり5万円のほか、登記申請用謄本料として1枚当たり250円が必要です。

オ 代理人による場合の委任状・代理人の印鑑登録証明書

弁護士等の代理人による場合は委任状が必要です。また、その場合には、代理人の印鑑登録証明書も必要となります。

カ 公証役場に出向く発起人または代理人の実印

(2)電子文書で行う場合

ア 電子文書

10MB(メガバイト)以下・PDF形式で「定款」を作成します。事前に「公証役場」に連絡をして確認をすることが必要です。

イ 電子証明書など

法務省の「電子証明書」・「申請用総合ソフト」などが必要となります。

ウ 手数料(1件当たり5万円)・電磁的記録の保存手数料(300円)・謄本料(1枚当たり250円)

「定款」の認証手数料1件当たり5万円・電磁的記録の保存手数料1件当たり300円が必要ですが、公証人保存用原本用収入印紙4万円は不要です。
登記申請用謄本料1枚当たり250円は、やはり必要です。

エ 受取りの際の印鑑証明書など

「公証役場」に認証された「定款」のCD-ROMや登記申請用謄本を受け取りに行く際には、「発起人」の場合は印鑑証明書、弁護士等の代理人の場合は委任状が必要です。

※ 詳しくは、こちらをご覧ください。
日本公証人連合会「電子公証制度のご案内」(http://www.koshonin.gr.jp/de2.html
※ 電子文書の制度は、技術の革新などによって目まぐるしく変化します。そのため、現状を正確に把握するためには、直接公証役場にお問い合わせください。

3 「定款」認証のご相談

「定款」の認証は、手続きをする前に「公証人」にチェックしてもらうことができます。その際、「定款」に必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」については誤りが発見されやすいといえます。
しかし、「公証人」はあくまで法律で定められた要件をチェックするだけなので、例えば、取締役の報酬の決定方法など任意に記載すればよい事項についてミスを発見できない場合もあります。
「定款」は、会社の根本規則として会社の重要な事項を定めるものですから、設立の際には慎重に決定する必要がありますので、株式会社設立のときには、企業法務に専門知識のある当事務所にご相談ください。