契約書のチェックは、どのような点に注意すればよいか

契約内容をチェックする場合には、①相手方、と②内容の2面から、想定されるリスクに応じた検討をすべきことになります。

①相手方

まず、①相手方については、取引相手に信用、資力がある場合には特に問題はありませんが、そうでない場合、相手に連帯保証人を要求できるか等を検討すべきです。たとえば、A社がB社に月間1000万円分の商品を納入して、B社の支払いが翌月末であるという場合、B社が資力のある大企業であれば支払いがなされないことを心配する必要はありません。しかし、そうではない場合、翌月末の1000万円の支払いがなされない場合、さらにいえば、B社が倒産してしまう場合を想定しておく必要があります。この場合にも、資力のある連帯保証人がいれば、A社はそこから回収することが可能となります。

②契約内容

次に、②契約内容については、想定されるリスクに応じて、自社に有利な内容にしておくべきです。たとえば、上記の例でいえば、A社としては、B社の支払いがなされない場合にそなえて、月末の支払いがなければ直ちに契約を解除して、すでに納入した商品代金1000万円の回収に着手できるとともに、翌月の商品納入をストップできるようにしておくべきです。逆に、B社としては、納入された商品が不良品だったような場合に備えて、そのような場合の返品や代金減額についての規定を入れておくべきことになります。

自社のリスクに応じてチェック

このように、契約書は、あくまで、自社のリスクに応じてチェックされるべきであり、自社にとってリスクがない場合、たとえば、少額の取引で、損害がほとんど想定されない場合や、信用のある永年の得意先との取引の場合などは、契約書がなくてもよいということになるでしょう。

なお、契約条項のなかに「本契約に関して疑義が生じた場合には、当事者双方は、信義に則り誠実に話し合いを行ってこれを解決するものとする」等という条項が入っている場合がありますが、このような条項は、単なる気休めに過ぎないと考えるべきでしょう。

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