こんにちは、弁護士の奥田です。
今日は保険医療機関あるいは保険医等に対する個別指導、それから監査ということについてお話をしたいと思います。
ご存知のとおり健康保険を使って診療報酬を請求するには、保険医が保険医療機関において、ルールに則って診療、それから請求をするということが必要となります。
個別指導
ただ時々きちんとしたルールに則った請求がされてないんじゃないか、ルール違反の請求があるんじゃないかというような情報に接した時には、地方厚生局は通常まず個別指導ということを行います。
これは大体さかのぼって2ヶ月分のレセプトの中から30名分を抽出して、それを保険医療機関からカルテを持ってきてもらって、カルテと突合しながら不正な請求・不当な請求がないかということをチェックするということになります。
ただしこれはあくまで指導ですから、目的としては保険請求のルールを周知徹底させるといった目的のもとに行われるという建前になっています。
この個別指導の結果、不正請求 例えば架空請求ですね。やってもない診療について請求したといったような場合だとか、あるいは著しい不当請求、ルール違反の請求があると疑われるような場合、あるいは個別指導を何度も繰り返しても改善が見られないようなとき、あるいは個別指導を理由なく拒否したような場合、このような場合には次の段階である監査ということに進みます。
監査まで進まなくても、個別指導でたとえば不当な請求が見つかった場合には、1年分、全カルテ・全請求を1年分遡って、当該医療機関において自主的にチェックをして、自主的に不当請求があった部分について全額お金を返しなさいというふうに言われます。
これが個別指導です。
監査
個別指導で先程言ったような不正請求や著しい不当請求等があると疑われた場合には、次の監査というものに進みます。
監査というのは指導ではなくて「監査」ですので、これは不正請求あるいは不当な請求があったのかどうかということを厳しく調査をされて、その結果故意に不正な請求・不当な請求を行ったといったことが見つかったような場合、あるいは重大な過失によってしばしば不当な請求がなされたような場合には、保険医療機関の指定の取り消し、あるいは保険医の登録の取り消しという処分が下されることになります。そうすると保険診療ができなくなるわけですから、当該保険医療機関あるいは保険医にとっては非常に重大な不利益になってしまうことになります。
ですので、監査、それから監査につながりかねない個別指導ということになった場合には、そういった重大な不利益ということが想定されますので、弁護士などの専門家に相談をされながら対処を検討していくということがいいと思います。以上です。
最終更新日:2019年7月30日
著者プロフィール
奥田貫介 弁護士
おくだ総合法律事務所 所長
司法修習50期 福岡県弁護士会所属
福岡県立修猷館高校卒
京都大学法学部卒