私たちが法律相談に乗るなかで、行方不明の相手からお金を返してほしいという相談を受けることがあります。このような相談については、残念ながら、難しい答えになる場合がほとんどです。
相手が行方不明の場合でも、公示送達などの制度を利用すれば、裁判を起こすことはできます。そして、そのまま勝訴することも多いでしょう。
ただし、勝訴判決が出たとしても、自動的にお金を回収できるわけではありません。判決が出たあとにお金を回収するためには、相手の財産を探し出して、強制執行をおこなう必要があります。
そうはいっても、行方不明の相手の財産を、どうやって探し出すことができるのでしょうか。相手が行方不明だと、ここで困ってしまうのです。
このように、行方不明の相手からお金を返してもらうことは、大変困難です。また、行方が分かっている相手でも、財産や収入先の分からない相手からお金を返してもらうことも、困難といえます。
このことは、現在の法制度の限界ともいえますし、逆に言えば、私たちは、知らない間に財産を奪われる危険から、守られているともいえるでしょう。