Q.親戚に株主になってもらい商店を株式会社にしました。新規出店のため資金が急に必要となったところ、新たに「株式」を引き受けて「株主」になってもよいという人が現れました。その人は、「株式」はなるべく安価にしてほしいそうです。「株式」の発行にはどのような手続きが必要なのでしょうか?
A.新しく「株主」となる人にとって特に有利な金額での「株式」の発行には、「株主総会」で取締役が理由を説明しなければならず、「株主総会」で議決権を行使できる株主の議決権の過半数の出席、出席した株主の議決権の2/3以上の賛成が必要となります。
これは、「株式」の発行により、既に「株主」であった人と新しく「株主」となる人の利害を調整する必要があるので、厳格な手続が定められているのです。
「株式」の発行は、会社の資金調達という経営に大きな影響を及ぼすとともに「株主」の利害調整などのため複雑な規制がありますから、企業法務に専門知識のある弁護士にご相談ください。
1 「株式」の発行とは
株式会社の株主は、会社から配当を受ける権利や株主総会で議決に参加する権利があります。こうした株主としての権利を表すものを「株式」といいます。
このような株主としての権利を紙に表したものを「株券」といいます。「株式」は「株主名簿」で管理されるので、現在では必ずしも「株券」を発行しなくてよいことになっています。
株式会社は、株式会社の所有者としての地位を均一に分けたものを「株式」として発行し、資金を集めて活動します。「株式」の発行は、株主からみれば会社に対する権利を得るという側面、会社からみれば資金調達の側面があるといえます。
2 「株式」の発行
「株式」の発行により、既に「株主」であった人と新しく「株主」となる人の利害を調整する必要があるので、法律で必要な手続きが定められている場合があります。
第三者にとって特に有利な金額で「株式」を発行する場合、取締役が「株主総会」で理由を説明しなければなりません。この場合、原則として、「株主総会」で議決権を行使することができる株主の議決権の過半数の出席、出席した株主の議決権の2/3以上の賛成という要件をみたさなければなりません。
3 「株式」の発行
こうした「株主総会」の決議を経ることなく第三者に対して特に有利な払込金額で「株式」発行を発行した場合、取締役は会社に対して損害賠償をしなければならない場合があります。
「株式」の発行は、会社の資金調達という経営に大きな影響を及ぼすとともに「株主」の利害調整などのため複雑な規制がありますから、企業法務に専門知識のある当事務所にご相談ください。