Q.経営している商店が軌道に乗ってきたので、会社にしようと思います。会社には「定款」が必要とききましたが、「定款」には何を書くのでしょうか?

A.「定款」とは、会社の組織と活動に関する根本規則をいいます。
「定款」の記載事項には、会社の目的や商号など必ず記載しなければならないものや「定款」で定めなければ効力が認められないものがあります。

「定款」は、会社の根本規則として会社の重要な事項を決定するものですから、設立の際には慎重に決定する必要があり、会社の成長にあわせて「株主総会」で変更をしていくべきものといえます。こうしたことから、株式会社設立のときにも設立後に経営を見直したいときにも、企業法務に専門知識のある弁護士にご相談ください。

1 「定款」とは

「定款」とは、会社の組織と活動に関する根本規則をいいます。
「定款」は、会社にとって重要な事項を定めるとともに、債権者など会社外の関係者にも大きな影響を与えるものです。例えば、「定款」に記載された「会社の目的」以外の行為をしても無効なので、「会社の目的」と全く関係のない活動のために契約をした相手方が損害を被ることがあります。
このため、会社の設立後、「定款」を本店・支店に備え置き、株主や債権者の閲覧に供する必要があります。

定款のイメージ

○○株式会社定款
第1章 総則

第1条(商号)
当会社は、○○株式会社と称する。

第2条(会社の目的)
当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
(1) ……
(2) ……
(3) 前各号に附帯関連する一切の事業

第3条(本店の所在地)
当会社は、本店を東京都○○区に置く。

2 「定款」の記載事項

「定款」の記載事項には、次のようものがあります。

(1)絶対的記載事項

「定款」に必ず記載しなければならない事項は、「絶対的記載事項」とよばれ、1つでも欠けると「定款」全体が無効となります。

「絶対的記載事項」には、(ア)会社の目的、(イ)商号、(ウ)本店の所在地、(エ)出資される財産の価額又は最低額、(オ)設立の企画・事務行い「定款」に署名等をした人(発起人)の氏名・名称と住所、(カ)発行可能株式総数の6つがあります。

(2)相対的記載事項

「定款」に記載しなくても「定款」自体は無効となりませんが、「定款」で定めなければ記載事項の効力が認められないものは、「相対的記載事項」とよばれます。
例えば、決算などの公告の方法、金銭以外の財産による出資、株式の譲渡制限などがあります。
※「譲渡制限株式」の詳細ページはこちら

(3)任意的記載事項

「絶対的記載事項」・「相対的記載事項」以外の事項を「任意的記載事項」といいます。これは、「定款」に記載していなくても別途定めることができる事項です。
ただし、そのような事項も「定款」に記載することで、会社の決まりが明確になるとともに、変更するには「株主総会」で出席した議決権の2/3以上の賛成が必要となります。
例えば、代表取締役の選任、取締役の報酬、「株主総会」の議長や代理人による議決権行使ついて「任意的記載事項」として定めることがあります。

3 「定款」記載事項の注意点

株主の個性が問題となる会社では、「株式」の譲渡による取得に会社の承認が必要であること(譲渡制限)を「定款」に定めることがよく行われます。

株式の譲渡制限を定める場合、設立の際に「定款」に忘れずに記載しておく必要があります。そして、証券取引所に株式を上場するには「譲渡制限」のない株式を発行する必要があるため、会社が成長してから「定款」を株主総会決議で変更することが考えられます。

このように、「定款」は、設立の際には慎重に決定する必要があり、会社の成長にあわせて「株主総会」で変更をしていくべきものといえます。こうしたことから、株式会社設立のときにも、設立後に経営を見直したいときにも、企業法務に専門知識のある当事務所にご相談ください。