Q.商店を会社にする準備を進めていますが、出資する予定だった人がお金を集めることが難しくなってきました。出資されるお金が足りないとどうなるのでしょうか?
A.発起人が1株でも引き受けて、「定款」で定められた出資される財産の「最低額」を下回らない「出資の履行」がなされていれば、会社の設立は可能です。そのため、出資財産の最低額についての「定款」の記載を調整することで、少ない出資でも会社を設立することができます。しかし、現実的には、会社の事業に必要となる金額を確保できなければ、経営は困難になります。
会社の会社設立の際には、実際に事業を行うために必要な金額を適切に見積るとともに、確実に「出資の履行」が行われるよう資金調達を計画することが重要ですから、企業法務に専門知識のある弁護士にご相談ください。
1 「出資の履行」とは
会社の設立に際しては、「定款」で「出資される財産の価額又は最低額」を定めなければなりません。この「定款」に定められた出資される財産の払込みなどを「出資の履行」といいます。
「株主」は、株式会社にお金を貸した債権者などに対して直接責任を負わず、「株式」の引受価額の限度でしか責任を負いません。そこで、株式会社の債権者の保護を図るため、「出資される財産の価額又は最低額」は、現実に払い込まれなければなりません。
2 「出資の履行」をする人
設立の方法の違いにより、「出資の履行」をする人には、次のようものがあります。
(1)発起人
設立の企画・事務を行い「定款」に署名等をした人を「発起人」といいます。
「発起人」だけが出資して「株式」を引き受ける場合を「発起設立」といい、一般に多く用いられます。
「出資の履行」をしない「発起人」は、他の「発起人」から期日を定めて催告を受けて「出資の履行」をしなければ、設立された会社の「株主」となる権利を失います。
(2)「株式」の引受人
「株式」の引受け・出資をしてもらう人を「引受人」といいます。「発起人」が「引受人」を募集して会社を設立する場合を「募集設立」といいます。この場合も「発起人」は、1株以上「株式」を引き受けなければなりません。
「株式」の「引受人」は、「出資の履行」をしない部分について、当然に「株主」となる権利を失います。
3 「出資の履行」が不十分な場合の問題
「出資の履行」が実際に行われたかどうかについては、会社の設立に際して取締役となる人(設立時取締役)などの調査を受けます。
発起人が1株でも引き受けて、「定款」で定められた出資される財産の「最低額」を下回らない「出資の履行」がなされていれば、会社の設立は可能です。しかし、会社の事業に必要となる金額を確保できなければ、経営は困難になってしまいます。
こうしたことから、会社の会社設立の際には、実際に事業を行うために必要な金額を適切に見積るとともに、確実に「出資の履行」が行われるよう資金調達を計画することが重要ですから、企業法務に専門知識のある当事務所にご相談ください。