Q. 新規店舗の建設を独断で進める取締役を急いで解任したいのですが、取締役が「株主総会」を招集しようとしません。株主が「株主総会」を招集できないのでしょうか?
A. 「株主」の意思決定をする機関である「株主総会」は、いつでも、決議により「取締役」を解任することができます。
しかし、「株主総会」の招集を行う者は、原則として「取締役」とされており、解任の対象となる「取締役」が「株主総会」の招集を拒むことが考えられます。
「取締役」が「株主総会」の招集を拒む場合、一定の要件をみたす「株主」は、「取締役」に対して「株主総会」の招集を請求することができ、それでも招集されないときは裁判所の許可を得て自ら招集することもできます。
「株主総会」の決議は定足数・決議要件をみたす必要がありますから、多数派工作が必要です。また、後に裁判で「株主総会」の決議が取り消されないよう、法令・定款に則り入念な準備が必要となりますから、企業法務について専門知識のある弁護士にご相談ください。
1 「株主総会」の招集を行う者
「株主総会」とは、「株主」によって会社の意思決定をする機関です。「株主総会」は、いつでも、決議により「取締役」を解任することができます。
「株主総会」の招集を行う者は、原則として「取締役」とされており、「定款」に「代表取締役」などと定めていれば、それに従います。
毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない「定時株主総会」の開催日が近ければ、その日を待つことが考えられます。しかし、「臨時株主総会」を急いで開催する必要がある場合、解任の対象となる「取締役」が「株主総会」の招集を拒むことが考えられます。
2 株主による「株主総会」の招集
総株主の議決権の3%(これを下回る割合が定款に定められていることがあります)以上の議決権を有する株主は、一定の要件をみたせば、「取締役」に対して「株主総会」の招集を請求することができます。
そして、(ア)招集を請求したにもかかわらず遅滞なく招集の手続が行われない場合、又は(イ)請求があった日から8週間(これを下回る割合が定款に定められていることがあります)以内の日を株主総会の日とする株主総会の招集の通知が発せられない場合、招集を請求した「株主」は、裁判所の許可を得て、「株主総会」を招集することができます。
一定の要件をみたす「株主」は、「○○取締の解任の件」「取締役選任の件」という議題、「△△を取締役に選任する」という議案を「株主総会」の目的とすることや招集通知に記載することを請求できます。
3 「株主総会」の決議
株主が「株主総会」を招集できたとしても、「株主総会」の決議には、議事を行うために必要な出席数(定足数)と議決に必要な賛成の数(議決要件)をみたす必要があります。
「取締役」の解任のためには、原則として、議決権を行使できる株主の議決権の過半数という定足数、出席した株主の議決権の過半数という議決要件をみたさなければなりません。定足数・決議要件は「定款」で定められている場合がありますので、「定款」を事前に確認しておく必要があります。
「株主総会」の決議は定足数・決議要件をみたすためには、多数派工作が必要です。また、後に裁判で「株主総会」の決議が取り消されないよう、法令・定款に則り入念な準備が必要となりますから、企業法務について専門知識のある当事務所にご相談ください。