Q.今回、従業員の就業形態や、勤務時間等の見直しを行うことになりました。見直した場合、「就業規則」を変更しなければならないでしょうか?
A.
変更する必要があります。
「就業規則」とは、労働条件や職場規律などについて使用者が定める規則をいいます。
「就業規則」を変更するためには、(1)変更案の作成、(2)労働者代表等からの意見聴取、(3)労働基準監督署長への届出、(4)事業所での周知といった手続きが必要となります。
「就業規則」は常に見直す必要があります。なぜなら、会社を経営していると、業績にあわせて、労働者の労働条件を変更する必要が出てくることもありますし、社会の変化にあわせて労働契約に関する法律が改正されることもあるからです。
雇用関係のトラブルを防止するとともに、企業が発展していくためにも、「就業規則」の見直し、変更については弁護士にお気軽にご相談ください。
1 就業規則の見直しが必要な場合
「就業規則」とは、労働条件や職場規律などについて使用者が定める規則をいいます。アルバイト・パートタイム労働者なども含め、常時10人以上の労働者を使用している事業場は「就業規則」を作成しなければなりません。
「就業規則」には、法律で定められた、必要な記載事項、たとえば、勤務時間、休日・休暇、賃金の計算方法・支払方法などを記載しなければなりません。
ですので、こうした終業時間や賃金体系などが変更になれば、あわせて「就業規則」も変更しなければなりません。
そのほか「就業規則」を変更しなければならない場合としては、育児休暇など労働契約についての法律が制定・改正された場合も考えられます。
2 就業規則の変更の手続き
(1)変更案の作成
使用者が、企業の状況にあわせて「就業規則」の変更案を作成します。
ただし、「就業規則」には一定のしばりもあり、当然のことながら法律に違反する定めをすることはできませんから、弁護士などに相談することが必要になる場合があります。
(2)労働者代表等からの意見聴取
「就業規則」を労働者の不利益に変更することは、原則として労働者と合意がなければできないことになっています。
「就業規則」を変更する際には、労働者の過半数で組織する労働組合(労働組合がない場合には、労働者の過半数の代表者)から意見を聴取しなければなりません。
(3)労働基準監督署長への届出
変更した「就業規則」を労働基準監督署長へ届け出ます。「就業規則」の届出には、労働者代表等の意見をまとめた「意見書」も一緒に提出する必要があります。
「就業規則」を変更する場合、変更した条項について新旧の対照表などを作成して届け出ることもできます。
(4)事業所での周知
変更された「就業規則」は、見やすい場所に掲示したり、備え付けたりすることなどによって、労働者に周知させなければなりません。
「就業規則」に、合理的な労働条件が定められており、使用者が労働者に周知させていれば、それが労働契約の内容(最低基準効)となります。
3 「就業規則」変更のご相談
不況による業績不振などのため、使用者と労働者のトラブルが増える傾向にあります。こうしたトラブルは、使用者が労働者に労働条件をきちんと説明していなかったり、「就業規則」をきちんと作成していなかったりすることが原因となることが多いようです。
会社の業績にあわせて労働条件を見直す必要や、社会の変化にあわせて労働契約に関する法律が改正されますから、「就業規則」は常に見直す必要があるものです。
「就業規則」を適切に定めることにより、労働者が安心して高いモチベーションをもって働くことができるようになりますし、結局は企業の発展のためにもなります。
当事務所は、雇用関係のトラブルを防止するとともに、労働者にとって働きやすく企業も発展するよう「就業規則」の見直しをお手伝いして参りますので、お気軽に当事務所にご相談ください。