賃貸借契約を締結して土地や建物を借りている借主、いわゆる賃借人は、貸主に対して賃料支払い義務を負っています。賃料とは、賃貸借の目的物である土地や建物を利用させてもらうことに対する対価として支払われる金銭のことをいい、土地賃貸借であれば「地代」、建物賃貸借であれば「家賃」、あるいはいずれも賃借料などとも呼ばれます。具体的な金額や支払い方法は、最初の賃貸借契約のときに貸主と借主の間でどのような契約がされたかによりますが、月に一度、銀行振込などの方法によって支払われることが多いでしょう。
では、仮にある月の賃料が、決められた日に支払われなかったとします。この場合、貸主としては何ができる、あるいはすべきなのでしょうか。
まず、賃借人が賃料を約束通りに支払わない場合、それがたった1度のことであろうと、借主は契約上の義務違反をしたことになりますので、貸主は、その滞納賃料を支払うよう請求を行う法的な権限を有することになります。このとき、滞納している賃料そのものだけでなく、賃料が支払われるべきであった日の翌日以降の遅延損害金も請求することが可能です。
たとえば、具体的には、貸主は、まずは電話等で賃料が支払われていない理由等を問い合わせた上で支払いを促し、その後も支払いがなされないようであれば督促状を作成してポストに入れておく等の措置をとり、それでもなお支払われる気配がなければ、正式な請求書を送付していくことになります。同時に、連帯保証人等に対する請求も行うことになるでしょう。
また、賃料の滞納が相当期間に及ぶ場合は、滞納賃料の支払いを請求するだけでなく、賃料不払いという債務不履行があったことを理由に、賃貸借契約そのものを解除(解約)し、賃貸借の目的物である不動産の明渡しを求めることも、場合によっては可能です。
以上のことは実際に賃料不払いがなされてしまった後の対応なのですが、なかなか相手との連絡がとれない場合などは特に、かなりの時間と労力がかかってしまいますし、一度滞納されてしまった賃料は、必ずしも確実に回収できるとは限りません。
そこで、そもそも賃料滞納が生じないように契約の段階から手を打っておくということも、貸主にとっては重要となります。ですので、これから契約をしようという方は、ぜひ一度ご相談ください。契約内容を事後的に変更できる場合もありますので、賃料滞納について不安をお抱えの貸主(オーナー)様からのご相談も、お待ちいたしております。