店舗用に、事務所用にと不動産を購入したら、事故物件であることが発覚!そんな説明はされなかったのに…というように、不動産購入後に物件に欠陥が見つかるというトラブルは、少なくありません。事故物件以外にも、建物が違法建築であったとか、地中に異物が埋まっており希望の建物を建築できる土地ではなかった、建物に雨漏りをする箇所があった、シロアリが発生していた等も、後から見つかる欠陥としてよくある例といえます。このような欠陥が見つかった場合、買主としては、どのような法的手段を採りうるでしょうか。
現行法では、契約時に通常の注意を払っても気づかなかった欠陥のことを「隠れた瑕疵(かし)」とよび、その責任は不動産の売主が負うのが原則とされています。この責任は「瑕疵(かし)担保責任」とよばれるもので、責任を負うというのは、具体的には、修理に必要な額の支払いや損害賠償等が考えられます。
また、欠陥があるために、買主が契約を結んだ目的を達成できない場合には、契約解除になる可能性があります。どのような場合が「買主が契約を結んだ目的を達成できない場合」なのかは一概には言えませんが、そもそも修復が不可能(建直しが必要)というような場合であれば、契約解除ということになるでしょう。
なお、物件の購入からどれくらいの期間であれば、この「隠れた瑕疵」についての売主の責任を請求できるかということについても、物件が新築であるか、中古であるか、不動産業者から購入したものかそうでないか、等の事情によって異なってきますので、注意が必要です。
さらに、契約書に「売主は瑕疵担保責任を負わないものとする」であるとか、「売主が瑕疵担保責任を負うのは、瑕疵を知った時から半年とする」、「瑕疵の修繕は行うが、損害賠償請求および解除をすることはできない」といった内容が書かれている場合があります。このような、民法とは異なる特別ルールを売主と買主のあいだで設定することも可能ではあるのですが、そのような特別ルールが有効なものであるかどうかも、個々の取引の事情によって異なります。それぞれの取引について細かい確認を要するといえるでしょう。
以上のような現行法のルールに、平成26年の民法改正案では変更が加えられたため、いずれこのルールが変わることになりそうです。法改正がなされた際には、新法に沿って契約書等を作成し直す必要も生じてくるでしょう。