改正パートタイム労働法について(3)
前回に引き続き、改正パートタイム労働法の内容についてです。
重要な改正ポイントの2点目は「パートタイム労働者の納得性を高めるための措置」です。これにつき、具体的内容をみていくことにいたします。
(2)パートタイム労働者の納得性を高めるための措置
パートタイム労働法は、パートタイム労働者がその有する能力を十分に発揮できることを目的としていますので、これを達成するには、パートタイム労働者が自己の職務内容や待遇についてきちんと理解し、納得したうえで働いている必要があります。
そこで、改正法は、以下のようなルールを設けてこれを達成しようとしています。
【事業主による説明義務の新設】
事業主は、新たにパートタイム労働者を雇った場合や、労働契約を更新した場合、賃金制度はどうなっているのか、教育訓練や福利厚生施設の利用制度はどのようになっているのか、どのような正社員転換制度があるか等について、パートタイム労働者に分かりやすく説明しなければなりません。
また、これは改正前から存在しているルールなのですが、労働者の側から要求があった場合には、待遇を決定するに当たって考慮した事項や、なぜそのような待遇となっているのかを説明することも、事業主の義務となっています。
さらに、このとき、説明を求めたことを理由に、パートタイム労働者に対して解雇や懲戒処分といった不利益な取扱いをすることは許されません。常識的には当然のことですが、パートタイム労働者が、不利益な取扱いを恐れて説明を求めることができないということがないよう、このようなルールも併せて規定されているのです。
【パートタイム労働者からの相談に対応するための体制整備の義務の新設】
事業主は、パートタイム労働者からの相談にきちんと応じ、これに適切に対応するための体制を整備しなければならない、というルールも、新たに付け加えられました。例えば、相談窓口となる担当者を置いたり、事業主自身が相談担当者となって対応したりすることを指します。事業主が責任者を決めて、相談実務を外部に委託するという方法によることも可能です。
いずれにせよ、パートタイム労働者が相談をしたいと思った時に、きちんと対応してもらえるような制度が整っていることが要求されるのです。
これに関連して、事業主は、パートタイム労働者を雇った時または労働契約を更新した時には、「労働契約の期間」、「始業・終業時刻」、「賃金の決定・計算・支払の方法」等と並んで、「相談窓口」(担当者名、役職、担当部署など)も、文書を交付して明示しなければならないこととなりました。
これらの新ルールにより、パートタイム労働者は、自己の労働条件、待遇についての十分な情報を得ることが容易となったのではないでしょうか。他方、事業主にとっても、きちんとこれらの説明義務を果たしておくことは、後のトラブルを避けるという意味で有効なのではないかと思います。
次回は、「パートタイム労働法の実効性を高めるための規定の新設」の具体的内容を確認していきます。
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